もしマッサージを受けるとしたら、「上手い人」と「下手な人」どちらを選びますか?
僕は「上手い人」を選ぶ。
大抵の人が「そんなの当たり前だろ」と思ったと思う。
それではなぜ、こんなバカげた質問をしたのか?
それはアートの世界では「下手な絵」に数億円の価値がついているからだ。
ピカソやバスキアのような画家は「下手な絵」なのではなく「絵を描くのは上手いが、自分の追求する表現の為に崩して描く」タイプである。
しかし、崩している訳でもなく、素人よりも「下手」なのに評価される、そんな不思議な画家がただ一人だけ存在するのだ。
その名は「アンリ・ルソー」
あまり聞き慣れない名前かもしれないが、絵はどこかで見たことあると思う。
ルソーは画家として以下のテクニックが欠落していた。
・遠近法(遠くも近くも同じ大きさで書いてしまう)
・人の足が描けない(常に地面から浮いているようになる)
当時売れている画家と比べると絵のクオリティの差は当時から明白だった。
では、なぜルソーは人気画家になれたのか。
それは「下手」を超越した魅力が絵にあったからだ。
ルソーの絵にはテクニック的には下手なのに、あの天才画家ピカソも評価した独特の魅力があるのだ。
実はルソーの画家デビューは遅い。
49歳の時、脱サラして画家になった。
生まれてから絵を習ったこともない男が画家になると宣言し周囲に「自分は画家として成功する」と言っていたそうだ。
どこから湧いてくるのかわからないルソーの「自信」。
その「自信」が絵や人を何倍にも魅力的に映すのなら、「根拠のない自信」も立派な武器だよな。
金子 トモヤ