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写メ投稿

  • 2024-06-27

    夜の散歩

    いま僕が右足を一歩前に出したこの瞬間に、全世界の中でくしゃみをした人は何人いるのかな。なんて考えたところで全く意味のないことを考えながら散歩をするのが好きだ。


    特に夜の散歩はとりわけ好きだ。訳のわからないことを考えやすい。逆に言えば、何にも考えていない。そういうことにもなる。訳のわからないことを考えるのは、本当に考えなきゃいけないことを考えないための言い訳に過ぎない。


    イヤホンからはイエモンの重厚なロックが流れている。水の中で光が乱反射しているようなロック。僕はそう言う重たいロックが好きだ。今風の爽やかお兄さんたちが爽やかに歌う邦ロックとは違う。もちろんそういう歌も聴いたりするが、今夜は違う。今夜聴いているのは、ロン毛のおっさんたちが肩を震わせて歌うようなロックだ。


    でも耳が疲れたらイヤホンを外す。そして夜の住宅街の音に耳を澄ませて町を歩く。


    自分の足音だったり、虫の音だったり、街灯から僅かに出る音だったり。環境音に耳を澄ませて歩く。これを散歩瞑想と言う。別名をウォーキングメディテーションという。僕が勝手に名付けた。


    そんなことをしているから道に迷うんだよな。自分の住んでる町なのに。変なこと考えて歩き回るから、ここどこ?みたいな場所に来ちゃったりする。そんなときは決まってやることがある。


    電柱に貼ってある住所表示を見る。〇〇何丁目とか書いてある。僕はこれを見ると、毎回映画GANTZを思い出す。GANTZにもそういうシーンがあるんだ。そして今、目の前にネギ星人が現れたらどうしようかなと妄想したりもする。ネギあげます。と言われたら、ありがとうと受け取って家に持ち帰って納豆に混ぜて食べようかなとか。


    そんなどうでもいいことばかり考えてるから、またさらに道に迷うんだよな。


    そして僕は同じ道を引き返して帰る。


    いま僕が左足を一歩前に出した瞬間に、全世界中の人たちの中で、ちょうど今この瞬間エロいことしてる人たちは何人いるのかな?