数多の素敵な写メ日記の中から、この日記を見つけていただきありがとうございます!
みなさん、落語はお好きでしょうか?
饅頭こわいとか、寿限無なら聞いたことがある。という方は多いと思います。
俺は「猫の皿」という話がすごく好きです。
落語としてはだいぶ短い話なのですが、綺麗にまとまっています。
江戸時代、今ほど情報があちこちに出回っているわけもなく、ググるなんて想像もできません。
そんな時代ですから、地方には持ち主が価値を理解していない、いわゆる「掘り出し物」が多く存在していました。
なので、価値を分かっている江戸の道具屋は、たまに地方に出掛けてはそういった掘り出し物を安く買って持ち帰り、高い値段で売ることで儲けを得ていました。
しかし、地方に行けばいつも何か見つかるというわけでもなく、骨折り損なこともしばしばあります。
ある道具屋が地方に出向いたものの何も見つけられず、江戸に帰っている途中で、少し休んでいこうと一軒のお茶屋さんに寄るところから話が始まります。
のどかな風景を眺めながらお茶を飲んでいると、縁台の下でご飯を食べている猫に目がいきます。
何気なくその様子を見ていた道具屋さん、あることに気が付きます。
その猫が食べているご飯が入ったお皿、「絵高麗の梅鉢」というとても価値のある茶椀で、300両もするものでした。当時の1両は、今で言うと10万円ぐらいの価値と言われているので、3000万円ほどの価値です。
そんな高価な茶碗で猫にご飯を食べさせている様子から、お茶屋さんの主人は価値を分かっておらず、うまくやれば茶碗を持って帰れるだろう。と道具屋さんは思い付きます。
ですが、そのまま茶碗を売ってくれ。と言っても怪しまれるだろうし、最悪の場合売ってくれないかもしれません。
そこでまずは、猫に興味があるふりをします。猫を呼び、自分の膝の上に抱き上げました。
道具屋「とても可愛い猫だね〜。これだけ懐いているし、良かったらこの猫を譲ってくれないかい?」
主人がためらっているのを見て、さらに続けます。
道具屋「もちろんタダとは言わない。ここまで育ててくれたお礼として、3両払おう。」
そう言いながら、半ば強引に3両を主人に渡しました。
道具屋「猫はお皿が変わると餌を食べなくなると言うからね。このお皿もついでに持っていくよ。」
何食わぬ顔で絵高麗の梅鉢を持っていこうとしたのですが、そこで主人がすかさず、
主人「待ってください。その猫は、こっちのお皿でもご飯を食べるので、こちらをお持ち帰りください。」
と、奥から安そうなお皿を持ってきながら言いました。納得のいかない道具屋が尋ねます。
道具屋「さっきまで食べていた、こっちのお皿の方が確実だろう。こっちを持って帰るよ。」
と食い下がります。それに対して主人が口を開いてこう答えます。
主人「お客さんはご存知ないかもしれませんが、その茶碗は絵高麗の梅鉢と言ってとても価値の高いものなんです。なので、お譲りできません。」
何を隠そう、この主人は茶碗の価値をちゃんと知っていたのです!まさかお茶屋の主人が価値を知っていると思わなかった道具屋が思わず聞きます。
道具屋「なんでそんな高価な茶碗で、こんな小汚い猫に餌を食べさせているんだ!」
主人「こうやってこの茶碗で猫にご飯を食べさせていると、たまに猫が3両で売れるんですよ。」
以上が話の内容なんですが、お茶屋さんの賢さや、してやった感がとても好きなんです。
ここまで長々と読んでいただき、ありがとうございました。
良かったら、youtubeなどにもあるので聞いてみてください!