写メ投稿
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2024-02-04
「夜鳴きの向日葵」五
五
命は不可逆のプロセスという言葉を本で読んだことがあった。一度受精して受精卵が着床すると、そこから死ぬまで細胞分裂を繰り返し、代謝を行う。生き物はそれが行えなくなると死んでしまう。
思ってみるとものすごいエネルギーを受精卵は有している。ミクロな個体が幾十兆個の細胞の塊に変化するのだ。
口の中が重たい。口に静也の子種が広がる。匂いに頭がくらくらする。これこそ『犯されて』しまっている。『犯される』、これほど嫌悪感がありながら淫靡な言葉があるだろうか。
「ありがと、向日葵」
口の中にいる静也をどうしたらいいのか。
「んぅ…」
「どうしたい?」
「…ん…」
「飲んで、向日葵」
背中がぞくぞくする。決して味が美味しいわけではないのに…ふわりと耳元で囁かれる静也の声に逆らえない。それどころか、それをしたくなって疼いている自分さえいる。
恥ずかしい。もう何度も静也に抱かれ、精液を飲んでいるが、羞恥心は一向になくならない。
一息に静也のものを飲み込んだ。喉に少し張り付いて流れていく。なんだか強い生命力を含んでいた。私の蜜が溢れ出てしまう。
「ありがとう。向日葵」
静也は私の頭を撫でて唇にくちづけた。
「ん…」
「じゃあ、始めるよ」
静也はそういうと私の足の間に顔を埋めた。
「やっ…」
息が私の中心にかかると身体が跳ねた。
「え?嫌なの?」
「…きらい」
俯く私の顔を見上げてにやっと笑い、クリトリスに舌を当てた。包皮を上唇で押し上げる。刺激の強い快感に私の口からは大きな声が漏れる。
「あぁっ」
舌は上下に動き、執拗にクリトリスを愛撫する。決して動きは激しくはないが、夫とは全く違う舌の動きだった。
静也は徐に私の中に指を入れ、指先で上のクリトリスの真裏あたりを一定のリズムで刺激する。気持ちいい。いつの間にか静也には私のツボと、好きなペースを完全に知られてしまっている。とんとんと柔らかく叩くように、そしてそこに触れる瞬間に少し滑らせる。
とことんまで焦らされた上に静也のペニスで口内を犯された私の感度は限界まで上がっていた。
あぁ…連れて行かれる。たった数秒の愛撫で。もう帰って来られないかもしれないと思ってしまうのに…拒否できない。否、帰って来られなくても…いい…。
瞬間、背中がびくんと浮き上がった。
「うぅ…っ!いくっ!」
私の膣が静也の指を締め付け、腿で静也の顔を強く挟み込んだ。
頭から魂が抜けてゆく。まるで濃霧の山奥に迷い込んでしまったかのように、何もわからない。
愛されている…。そう頭の中で言葉として思考を区切ったとき、もう一度絶頂が訪れた。