今回は、私がとても好きな若き才能を持つ日本のアーティストによる一曲を紹介します。

 

napori / Vaundy（2020年）

👉 https://youtu.be/ZeIGVnkYX04?si=bvDVGhjPRvxlYgUQ

 

Vaundyは、母親がジャズシンガーだと言われており、その影響から幼い頃から幅広い音楽に触れてきたと語られています。

ポップス、ロック、R&B、エレクトロニカを軽やかに横断しながら、自分だけの音を築き上げていく、いま最も未来が楽しみな若い才能のひとりです。

さらに、作詞・作曲・編曲・歌唱から、アートワークやグッズ制作まで自分で手がけるマルチアーティストでもあります。

 

“napori”は、彼が10代の頃に作ったと言われている楽曲で、音数は多くないのに不思議と温度があり、メロディの運びも驚くほど滑らかな一曲です。

一聴すると軽やかなのに、聴き返すほど細部の作り込みが見えてきて、構造の巧みさがじわりと姿を現します。

 

私が好きなところは、「当然こんな夜にはコーヒーがいいだろ、そんな僕の横でハイボールを一口、もうなんて言うんだろう、そう君見てると、酒入ってなくても酔いが回るんだな」というパートです。

このフレーズは、言葉の切れ目とビートの噛み合いが絶妙で、歌詞そのものが“ひとつのリズム”として耳に流れ込んできます。

たった数行なのに、二人の距離感や空気の温度まで一気に浮かび上がるのが印象的です。

そして「君を見てると酔いが回る」という一言が重なると、まるで短編映画のワンシーンを静かに覗き込んでいるような余韻が残ります。

 

この曲をイメージして絵も描いたので、ぜひ音楽と一緒に楽しんでください。