写メ投稿
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2025-10-07
影と陰と、実力者ごっこ
子供の頃
トランポリンで跳ねていた宙を舞い
バク転もバク中も出来た身体は“原子”のように軽く
宇宙までも飛べる気がしていたけれど体が大きくなるにつれて
思うように跳べなくなり
風の重さを知った宇宙を飛ぶ夢も
いつの間にか見なくなっていた――時は流れ
僕は会社員として働いていた結果を出しても
上司と合わない僕は
昇るよりも 隠れることを覚えたその他大勢の影の中
平凡で 目立たず
世界から見たら
僕は小さな「原子」だったけれど僕には
誰にも言えない“もうひとつの顔”があった仲間と作った秘密結社――
「シャドウ・エデン」陰で悪を討ち
悪事を働く“ディアブロ教団”と戦っていたディアブロ教団は
廃墟と化した教会に潜み
そこを拠点として活動していた表では政治を操り
陰では人々に呪いをかけ
悪魔に変えて支配を広げていった僕たちも表では
目立たない存在のまま
陰に潜み 影を討つ者として
――という空想の世界をつくり ロールプレイングゲームのように
仲間たちとヒーローごっこを楽しんでいた――その日も
あの廃墟の教会に集まり
空想の続きを語っていただが突然、
奥から「ガタン」と音が響いた入り口の扉が閉まり
闇の奥から
“何か”が近づいてくる禍々しい気配
焦げた空気
そして、現れたその姿――魔王と呼ぶに相応しい怪物だった
その巨腕が振り下ろされ
床が砕け、石片が宙を舞う
黒い炎が渦を巻き
仲間たちの悲鳴が空間を裂いた熱風が吹き荒れ
瓦礫が弾丸のように飛び交い
教会の壁が崩れ落ちていく僕は叫んだ
「これはただのごっこ遊びだ!」だが、魔王は笑った
その瞬間、
胸の奥で何かが弾けた――あの頃の記憶が蘇る
「どこまでも飛べる」と信じていた
あの日の僕が目を覚ましたそして気付いた
世界が、自分を見つめていることに体の奥にある核(アトム)が光を放つ
世界が静止し
空気が震え
光が膨張した轟音、閃光、そして白の奔流
空間が捻じれ
街の景色さえも歪むそれは――
核爆発を凌駕するほどの光全てを呑み込みながら
音が消え
世界は静寂に沈んだ次の瞬間、
僕は立っていた陰でこっそり
世界を操る実力者ごっこをしていたら
気付けば 本当に
世界の中心に立っていた行き交う人の中で
重なり合う影埋もれて
世界から見放されていた自分が
静かに宣言した「世界の中心は、僕だ」
言葉の魔法は現実を変え
自分の憧れる存在を現実にし
核でも蒸発しない世界を作るその世界は今もどこかで続いている
静かに光を跳ね返しながら
新しい夢の軌道を描いている


