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写メ投稿

  • 2025-08-23

    仮面と銃と、夕焼けの空

    ──小さい頃、公園に屋台がやってきた
    仮面の型枠にねんどを流し込む
    うまく固めればポイントがもらえて
    豪華賞品と交換できるという
    謎の遊びだった
    子供たちは群がり
    僕もまた時間を忘れて仮面を作った
    その横で、夕焼けの空はやけに綺麗だった

    ──大人になり
    会議室に並ぶ顔もまた仮面だった
    不自然な笑みを貼り付けた
    マネージャーの彼は言った
    「入札に勝てば君も昇進だ」
    だがわかっていた
    昇進するのは彼であり
    僕はただの兵隊であると
    揉めたくないから
    「なんとかします」と言い残し
    仮面の群れから抜け出した

    社会に出て気づいたこと
    仮面を被ったやつらは
    利益のためなら平気で人を踏み台にする
    だが僕は
    その仮面の奥を見抜く眼を持っていた

    ──もうひとつの顔
    潜入捜査のハンターとしての僕
    依頼屋から持ちかけられたのは
    麻薬密売の阻止依頼
    「君ならやれるだろう」と差し出されたのは
    狙った獲物を決して外さない銃
    “ジャッジメント・ガン”
    照射レベルを自在に操れ
    数秒のバリアすら展開する
    だがその時すでに
    依頼屋の笑顔の奥に
    あの仮面の違和感を感じていた

    港の倉庫
    闇の中に浮かぶアタッシュケース
    麻薬の束を確認した僕は
    銃を最低照射レベルに切り替え
    閃光の連射を浴びせる
    密売人たちは次々に気絶し倒れた
    トランシーバーで合図を送ると
    特殊部隊が一斉に突入し
    場を制圧していく──そのはずだった

    依頼屋が背後に現れる
    やはり、あの仮面の笑み
    僕の寒気は正しかった
    咄嗟にバリアを張ると
    彼はジャッジメント・ガンを最大照射にし
    無差別に連射した
    倉庫にいた全員が崩れ落ち
    立っているのは僕ひとり

    「気付いていたか」
    「お前のその銃は、私を撃てないよう顔認証で設定してある」
    冷たい声が響く
    僕は小さく笑い返す
    「だろうな…」

    その瞬間
    上着の奥から隠し持っていた小型の銃を抜き放ち
    弾丸を撃ち込んだ
    仮面の笑みは砕け落ち
    静寂の中で僕は呟いた
    「仮面は欺くためにあるんじゃない
     遊ぶためにあるんだ」

    ──翌日
    入札額を下げた資料を提出し
    ほどなく会社を去った
    噂では、無理な数字で通した案件は破綻し
    マネージャーは降格したという

    子供の頃、仮面を作りながら見た夕焼け
    その色は今も変わらない
    仮面の群れに飲まれず
    自分の道を刻み続ければ
    あの夕焼けはいつだって
    綺麗に映るはずだ

    そしてその先に広がる自由の空へ
    僕は今日も
    時間を忘れて歩いていく