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  • 2025-08-06

    月と少女と、二つの影

    量子力学には、こんな考え方がある。
    「観測するまで、現実は確定しない」
    つまり、世界は見る者によって形を持つ。
    この理論を突き詰めると──
    「誰も見ていなければ、月すら存在しないかもしれない」
    そんな不思議な世界を、ニールス・ボーアという物理学者は提唱していた。

    ある夏の夜、
    不本意な転勤を命じられ、深夜バスで長距離を移動した。
    バスを降りたのは、夜の9時。
    湿った空気に汗が滲み、
    重たいスーツケースを引きずりながら、
    知らない街を歩いた。

    ふと見上げると、空には満月。
    ──美しく、そして静かだった。

    その光に照らされて、
    地面に「二つの影」が映っていた。
    「え……なんで?」
    そう思った瞬間、影はひとつに戻っていた。

    職場は最悪だった。
    埃と暗がりと、黙った人たち。
    けれど、数日後には少し心許せる仲間ができた。
    昼休み、ふとした会話の流れで、
    僕は彼に打ち明けた。

    「実は…会社を辞めようと思ってる」
    「システムを作って、自分の力で生きていきたい」
    「怖いけど、それが夢なんだ」

    彼は興味深そうに聞いてくれた。
    嬉しくなって、僕は思っていることを全部話した。

    でも翌日、会社に行くと、
    空気が変わっていた。

    「お前、なんか変なことやってるんだってな」
    「お前と仲いいあいつが言ってたぞ」

    ――裏切られた。
    信じていた人に。
    夢を笑われたようで、
    心のなかにあった火が、急に小さくなっていった。

    その日の帰り道、
    なぜか街が、いつもより暗く感じた。
    空を見上げても、月がなかった。

    それから何日も、月は姿を見せなかった。
    なのに不思議と、
    それを「おかしい」と思うことすらできなかった。

    ある日、会社のパソコンで量子力学を検索した。
    その中に、こう書いてあった。

    「月は、誰も見ていなければ存在しない」

    ハッとした。
    もしかしたら、
    僕の存在が薄れているから、月が消えたんじゃないか?

    胸がざわついた。
    このままじゃ、僕は本当に消えてしまうかもしれない。

    あの夜のことを思い出した。
    満月に照らされて、二つの影があったあの道を。
    あそこから、何かが始まっていた気がした。

    僕はスーツケースを引いたあの道を、もう一度歩き出した。
    ひとつ、またひとつと歩を進める。

    するといつの間にか、
    左手に、小さな手の温もりがあった。

    驚いて見ると、
    そこにはおかっぱ頭の、小さな女の子がいた。

    彼女は僕を見上げて言った。

    「思い出した?」
    「まだ間に合うよ、自分を信じて」

    その瞬間、
    胸の奥で何かが弾けた。
    波のような衝撃が、全身を駆け巡る。

    次に顔を上げたとき──
    空には、あの日と同じ、いやそれ以上に美しい、
    大きな満月が浮かんでいた。

    僕の影は、ちゃんと地面に伸びていた。
    もうひとつの影は、
    いつの間にか消えていた。

    それから数ヶ月後、
    僕は転勤先を離れ、
    自分の場所へと戻ることができた。

    あの時、自分の存在が揺らいでいた僕は、
    いま確かにこの場所に立っている。
    誰に笑われても、何を言われても、
    僕は僕を“観測”し続ける。
    信じて、見つめて、照らし続ける。

    今夜も、
    僕の頭上には、あの夜と同じように
    静かで、
    大きくて、
    美しい月が、ちゃんと浮かんでいる。