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  • 2025-06-19

    小さな僕と束縛の壁と、光のレジスタンス

    あの日僕は
    昇りかけた階段から
    誰かの指先ひとつで、落とされた。
    夢も、誇りも、
    独裁の気まぐれで灰になる世界。

    送り込まれたのは、
    巨大なクジラのような建物の中。
    臭気と絶望に満ちたその場所には、
    人の心を削る音が、
    いつも低く鳴り響いていた。

    「黙って働け」
    「考えるな」
    「従えば生き残れる」

    そんな呪文のような声に
    僕の小さな心は少しずつ縮んでいった。

    でも、出会ってしまった。
    夜のホテルバー。
    小柄で、よく笑う女性。
    会社を辞めて、海を越えるという彼女。

    「不安より、やりたいことが先」
    その言葉は、
    心の奥の小さな種火に、
    確かに風を吹き込んだ。

    僕は目を覚ます。
    これは牢獄。
    気づかれずに脱出しなければ。

    仲間たちと潜伏し、
    情報を集め、
    奴らを欺きながら
    出口を探す日々。

    僕たちは“レジスタンス”だった。
    小さくても、まだ終わっていない者たち。

    けれど、バレた。
    処刑場へと連行される僕。
    銃口が、
    僕の小さな胸に突きつけられる。

    そのとき思い出す、
    あの瞳。
    彼女の眼の中にあった、
    「まだ、終わってないよ」っていう光。

    僕の体が、
    ゆっくりと、音を立てて、
    巨大になっていく。

    押しつけられた光じゃなく、
    あの夜、
    僕が自分で選んだ光が、
    僕を元の大きさに戻した。

    僕は立ち上がり、
    束縛の壁を粉砕する。

    もう誰の言葉にも、小さくならない。
    もう誰の夢にも、閉じ込められない。

    僕は今、
    自由という名の荒野を走っている。
    笑いながら、
    この星のどこかでまた、
    誰かの火を灯す風になるために。