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写メ投稿

  • 2025-06-05

    路地裏と雨と、God Bless

    雨が激しく降る夜だった。
    車の中、彼女は声を押し殺して泣いていた。

    別れを告げたのは僕。
    でも、本当に崩れかけていたのは、
    あの古びた路地裏じゃなく、僕のほうだった。

    彼女は、誰が見ても美しいと言われる人だった。
    出会いは不思議で、どこか物語のようで、
    気がつけば惹かれていた。

    でも彼女が愛したのは、
    僕の“外側”だった。
    「前の人みたいに、強く言い返したりしてよ」って、どこか拗ねた顔で言ってた。

    僕は、うまく笑ってごまかしていたけど、
    本当は、自分に自信なんてなかった。
    だから、
    「好きだよ」って言ってくれる人なら
    誰でもいいって、思っていたのかもしれない。

    音楽も、服も、言葉も、
    全部「どう見られるか」で選んでいた。
    自分じゃなく、他人の視線の中で生きていた。

    ある日、
    街で流れる音楽が耳に残った。
    なんとなくリズムをとってみたら、
    身体の奥から、
    波みたいに楽しさが湧きあがった。

    心が、揺れた。
    声にならない声で、何かが叫んでいた。

    それが、
    僕の“目覚め”だった。

    もう、
    誰かの目の中じゃなく、
    自分の感覚で、生きていこうと決めた。

    それがどんなに見えにくい道でもいい。
    光なんてなくても、
    その闇の中で自分が笑っていられるなら。

    車を降りたとき、
    雨がびしょぬれの身体を打った。
    でもそれは、
    こびりついていた過去を
    ひとつずつ洗い流してくれるようだった。

    まるで、God Bless。
    僕に、そして、彼女にも。

    振り返らずに歩いたその夜、
    初めて、“自分という物語”が息をし始めた気がした。