写メ投稿
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2025-05-26
昼と夜と、薔薇の香り
ある日
ひとつのメッセージが届いた
短くて
言い訳のない言葉だったけど
どこか、やわらかくて
ふれる前から なにかを知っているような
そんな温度があった
胸の奥で
なにかがふっと
ほどけていった
彼女の昼は、明るい
誰にでも愛される声
空気をほどくような笑顔
まわりから頼られながら
いつも 自分のことは少しあとまわしにしている
でも夜の彼女は
たぶん 誰も知らない顔をしていた
遠慮という名のやさしさで
言いたいことを飲み込んで
静かに、自分を閉じてきた人
優しくしたいだけなのに
あとからそっと
「ごめんね」って自分を責めてしまう
彼女は、まるで薔薇だった
遠くから見ると
美しくて、気高くて
誰もが惹かれるのに
近づいた瞬間
その肌には小さな棘があって
少しだけ、触れる勇気を試される
でもね
その棘は きっと
ずっと誰かから
心を守るためについていたものだった
香りは、ほんとうに甘くて
やさしくて
その奥に、すこしだけ ひそやかな色気がまざっていて
その手がふと触れたとき
無意識に 目を伏せたあの表情が
まだ 僕の指先に残っている
あのときのメッセージに
僕の想いがにじんでいたなら
「あなたのやさしさは
ちゃんと届いてたよ」
言葉にできなくても
伝えたかったのは それだけだった
それだけで、
ほんとうに、じゅうぶんだった