写メ投稿
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2025-05-15
白鳥と歌と、夜空の中
陽ざしが、
肌の奥まで染み込む頃だった。彼女は、
旋律のようにしなやかで、
静けさの中に熱を宿していた。歌をくちずさみながら微笑む横顔も、
白鳥のように揺れる気配も、
ふとした瞬間に、
夜の空気をやわらかく染めていった。誰かの隣に暮らしながら、
彼女は夜になると、
心の奥をそっと解放していた。ふたりで過ごした夜があった。
星が濃く瞬く時間、
止まらない話と、途切れない笑い声。
触れていないのに、
心の深い場所が、不意に重なった。日常に埋もれていた彼女の中で、
その夜、なにかが芽吹いた。
自分の声に、耳を澄ませるように。そして、彼女は静かに歩きはじめた。
誰のものでもない、自分だけのリズムで。教えることは、
きっと、自分の輪郭を取り戻すことだったのだろう。今はもう、会っていない。
でもふとした夜に、
あの笑い声が、胸の奥に揺れる。彼女は今も、
星空のどこかで歌いながら、
白い羽根のような意志で、
自由をまとっているのかもしれない。