写メ投稿
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2025-05-11
音楽と静けさと、オレンジ
灯りを落とした部屋の奥、
シーツの白さだけが、
夜に静かに浮かんでいた。カーテン越しのオレンジの灯りが、
壁をやわらかく染めている。
遠ざかる喧騒と、近づく鼓動。
聞こえるのは、ふたりの呼吸だけ。感性が強すぎるほどに、
誰にも見せられなかった部分がある。
言葉より先に感じすぎて、
世界のノイズに疲れていた日々。けれど今夜、
その輪郭が少しずつやわらいでいく。
誰かと同じ空間にいることが、
こんなにも自然に感じられるなんて。呼吸の間に、見えないメロディが宿っていた。
求め合うというより、
たがいに滲み合うように——薄く香るリネンと肌の温度が、
時間の輪郭を曖昧にする。
過去も未来も持たずに、
ただ「今」だけが確かだった。照らすつもりだったのに、
照らされていたのは、こちらの方だった。——静けさの中、
ほどけていったのは、身体じゃない。
心だった。